シュトゥットガルト(ドイツ)および北京(中国) – 電気自動車(EV)の場合、高速充電でもスピードが十分とは限りません。充電中の遊休時間とそれに伴うコストにより、タクシーや配車サービス事業者などは、保有車両の電動化に踏み出せずにいます。加えて、連続使用した場合のバッテリーの持続性や信頼性など、バッテリー性能をめぐる不確実性があります。都市部の気候変動対策としてEVが果たす重要な役割を考えると、さらなるソリューションを見出す必要があります。そこで実現したのが、ボッシュおよび三菱商事株式会社(以下、三菱商事)とBlue Park Smart Energy(以下、BPSE)との提携です。パートナー各社は、「バッテリー・アズ・ア・サービス(BaaS)」を構築するために協力しています。ここで中心となるのは、フリート運用者はもはやバッテリーを購入する必要がなく、使用する分だけ支払えばよいという考え方です。これにより、初期投資費用だけでなく、運用コストも削減でき、より経済的にEVを運用できるようになります。現在、中国のパイロットプロジェクトを通じて、効率的なバッテリー交換のためのビジネスモデル構築に取り組んでいます。

バッテリー・イン・ザ・クラウドがバッテリーの最適な使用を確保
この協業における技術的基盤を担うのが、ボッシュのクラウドベースのサービスシステム「バッテリー・イン・ザ・クラウド」です。クラウド内のスマートなソフトウェア機能により、車両のバッテリー状態を継続的に分析して、セルの劣化を防止または遅らせるための適切な措置を講じます。こうして、バッテリーの性能と寿命を向上させることが可能となります。ボッシュ コネクテッドモビリティ ソリューションズ(Bosch Connected Mobility Solutions Ltd.)のゼネラルマネージャーであるZheng Xinhangは、「モビリティのネットワーク化に関する深い経験をもとに、パートナー各社と密接に連携し、バッテリーに関する新たなサービスモデルを検討していきます」と述べています。

プロジェクトでは第三者プロバイダー向けソリューションも開発
中国において、ボッシュと商業化パートナーである三菱商事は、BPSEと共同でパイロットプロジェクトを進めています。BAICグループ傘下のBPSEは、バッテリー交換システムのトップ企業のひとつです。三菱商事の電池事業部門で部長を務める濱中 誠治氏は、「この協業では、三菱商事の幅広い商業経験とリソース、そしてボッシュのバッテリー・イン・ザ・クラウドサービスによって、バッテリー交換事業と金融サービスとが結びつくことになります」と語ります。技術ソリューションの開発と並んで、ファイナンスリースのエコシステムを構築し、このエコシステムをモビリティサービスプロバイダーやファイナンスを提供する金融機関向けに提供する計画もあります。「この協力により、商用車フリート事業者向けの収益性の高いビジネスを構築することができます。また、温室効果ガスの削減に貢献し、新エネルギー車両の導入に有利な環境を整えることができます」と濱中氏はつけ加えます。

パートナー各社は他の市場も視野に
需要は大きく、中国だけでも約1,500万台のフリート車両が電動化されつつあります。ボッシュと三菱商事は、車両の電動化を支援するだけでなく、将来的には持続可能性の向上のために バッテリー・イン・ザ・クラウドサービスをベースとした再生市場での使用済みバッテリーの活用を促進したいと考えています。これを踏まえ、各社は「バッテリー・アズ・ア・サービス」を可能とする活動を他の市場にも拡大することを計画しています。

ボッシュのクラウドサービスによって保守も向上
バッテリーの急速充電、頻繁な充電、過度にスポーティな走行スタイル、極端に高いまたは低い周囲温度。これらは、すべてバッテリーに大きな負荷がかかり、劣化を早めます。ボッシュのクラウドベースのサービスは、こうした負担の要因を認識し、事前に対策を講じるように設計されています。まず、すべてのバッテリー関連データ、たとえば周囲温度や充電の傾向などがリアルタイムでクラウドに送られます。バッテリーの状態をリアルタイムで把握することで、バッテリーの劣化を防ぐことが可能になります。たとえば、周囲温度が非常に高温あるいは低温の場合、バッテリーをフル充電すると経年劣化が早まります。そこで、ボッシュのクラウドサービスでは、極端な高温または低温条件下ではバッテリーを100%まで充電しないようにします。クラウドデータは、バッテリーの保守と修理の向上にも役立つでしょう。たとえば、バッテリーの故障か不具合が特定されたら、すぐにドライバーもしくはフリート運用者に通知することができます。こうして、バッテリーが取り返しのつかないほど損傷したり、完全に作動しなくなる前に、修理できる可能性が高くなります。

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このプレスリリースは2022年04月01日に Robert Bosch GmbH より発行されました。
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