シュトゥットガルト/レニンゲン(ドイツ)- ボッシュ・グループは2023年に増収増益を達成し、厳しい環境にもかかわらず成長戦略を順調に実行しています。ロバート・ボッシュGmbH取締役会会長であるシュテファン・ハルトゥングは、年次決算を発表し、次のように述べました。「2023年度は財務目標を達成し、半導体から総合ビルシステムに至るまで、多くの事業分野において市場での地位を強化することができました。私たちは経済的な逆風下においても業界の変革に合わせて成長できるよう、技術革新、パートナーシップと買収に注力しています」グローバル規模で革新的なテクノロジーとサービスを提供するボッシュは、長期的には平均年間成長率6~8%、利益率7%以上の達成を目標としています。また、世界の全地域の主要市場でトップ3に入るサプライヤーとなることを目指しています。
ボッシュはさらに、成長機会のある技術革新分野を戦略的に拡大しています。たとえば医療技術の分野では、分子診断とマイクロシステム技術を組み合わせた新しいBioMEMSテクノロジーに取り組むと発表しました。これにより、病原体や遺伝子変異などの最大250の遺伝的形質を単一チップ上で、たとえば診療所などの医療現場で直接、正確に検査できるようになります。「BioMEMSは、分子診断とボッシュがスマートフォンや横滑り防止装置(ESC)に導入しているマイクロシステム技術を組み合わせたものです」とハルトゥングは述べました。ボッシュが取り組んでいる最初のBioMEMS検査のひとつは、敗血症または血液中毒を引き起こすさまざまな病原体をターゲットにしたものです。このため、ボッシュはRandox社と開発および販売でパートナーシップを締結しました。さらに、R-Biopharm社との戦略的パートナーシップは多剤耐性菌の完全自動検査の開発を加速することを目的としています。これらパートナー2社と共に、ボッシュは2030年までに約3億ユーロを投資する予定です。
2023年は売上高と業績が改善 - 2024年は引き続き厳しい状況
2023事業年度のボッシュの売上高は、厳しい経済・市場環境にもかかわらず916億ユーロに達しました。これは前年比3.8%の増加で、為替調整後では8.0%増となります。支払金利前税引前利益(EBIT)は48億ユーロ(2022年:38億ユーロ)でした。支払金利前税引前利益率は前年比1%増の5.3%と、予想は上回ったものの、長期的に必要とされる7%以上という目標利益率を下回りました。ボッシュは2026年までにこれを達成したいと考えています。「成長目標を可能な限り自己資金で達成するためには、高い収益力と財務力が必要です」と、ロバート・ボッシュGmbH財務担当取締役であるマルクス・フォーシュナーは述べました。「ラストスパートの成功が奏功し、全体として期待通りとなりました。しかし、2024事業年度は少なくとも2023年度と同水準で厳しいものとなるでしょう」
ボッシュの今年度の全体的な見通しは、現在の経済情勢を考慮すると依然として厳しい状況です。「2024年については景気の追い風は期待していません」とフォーシュナーが述べているとおり、2024年の世界経済成長率は2.3%にとどまり、自動車生産の停滞と機械製造市場の低迷が続くと予想しています。一方で、2年間続いた消費者の買い控えを経て、消費財市場は若干改善する可能性があります。さらに技術革新とグローバルでの事業拡大により、自社事業が安定すると見込んでいます。たとえば、エジプトではストーブ、メキシコでは冷蔵庫の製造工場を建設中です。
2024年第1四半期の売上高は、前年同期比で0.8%減少するものの、為替調整後では2.3%の増加でした。「このことから、年間計画で目指している5~7%の売上増は非常に野心的であることは明らかです」とフォーシュナーは語り、支払金利前税引前利益率が前年度を上回ることは難しいと述べました。「私たちが直面している課題は、市場環境の低迷だけはありません。戦略的に重要な分野に対する先行投資もさらなる増加を見込んでいます。再編やプロセスの改善も最初はマイナスの影響を与え、プラスの効果は遅れて現れるでしょう。」ボッシュはまた、業界の変化に応じて競争力を維持するために、さらなるコスト削減と構造変革を目指しています。フォーシュナーは「必要な措置を、バランスを考慮しながら一貫して講じる」と語りました。 必要な人員調整は、強制的な人員削減ではなく、社会的パートナーと協議しながら行われます。
成長分野:持続可能なモビリティ
ボッシュは中核であるモビリティ事業において、将来の成長に向けた戦略的意思決定を推進しています。今年だけでも、電気自動車向けの生産プロジェクトを約30件立ち上げています。「eモビリティの時代が到来しますが、唯一の問題は世界の各地域にどれだけ早くやってくるのかということです」とハルトゥングは述べました。「ボッシュでは、2030年までに欧州における新車の70%が純粋な電気自動車になると予測しています。中国と北米では40~50%になると見込んでいます。」さらにハルトゥングは、長距離を移動するために大型車両が必要となる場合、プラグインハイブリッドやレンジエクステンダーといったソリューションの需要は当分続くだろうと語りました。モビリティ事業セクターは、ビークルダイナミクステクノロジーによるさらなる事業の活性化を期待しています。ボッシュは、電動化と自動運転に合わせた新しい冗長ブレーキシステムにより、年間10%という市場を大幅に上回るペースで成長を遂げています。また、ボッシュはビークルモーションマネジメント(VMM)により、ブレーキ、ステアリング、パワートレイン、ダンパーを制御することで、車両運動のあらゆる側面を調整する革新的なシステムソリューションの開発に取り組んでいます。最近の冬季テストだけでも、ボッシュはVMMのさまざまな機能を20台以上の主要ブランドのテスト車両に搭載しました。「私たちはこの分野に早くから参入しており、今年中に最初の受注プロジェクトを量産する予定です」とハルトゥングは述べました。全体で、2030年までに数億ユーロの売上高を達成する見込みです。
成長分野:水素
ボッシュは成長分野である水素における事業見通しを再確認しました。2030年までに水素技術による売上高は50億ユーロに達する可能性があります。「ボッシュは2023年、ドイツのシュトゥットガルトと中国の重慶で燃料電池システムの生産を開始しました」とハルトゥングは述べました。ボッシュは、当面は中国が主要市場となり、欧州や北米では今後10年間は大きな成長は見込めないと考えています。技術的な観点では、水素エンジンはクライメートニュートラルな商用車輸送への最短の道です。ボッシュは、このテクノロジーの市場規模が2030年までに約10億ユーロに達すると予想しています。ハルトゥングは、「ボッシュの噴射技術を採用した水素エンジンは、早ければ今年中にインドで導入される予定です。すでに世界の3大経済圏の有名トラックメーカーから、5件の受注を獲得しています」と述べました。ボッシュは急速に成長している水素製造市場にも参入したいと考えています。2030年までに水電解装置の設備容量は全世界で170ギガワットに達する見込みで、これは現在の約25倍に相当します。「私たちの電気分解スタックは来年の市場参入に向けて順調に進んでいます」とハルトゥングは述べました。「将来、ボッシュは水素パワートレインだけでなく、水素製造の代名詞にもなるでしょう。私たちはサプライヤーとして将来の市場形成に積極的に貢献していきます」
成長分野:ヒートポンプ
ボッシュはサーモテクノロジー分野でも、計画的に成長機会を探っています。2023年、ヒートポンプ市場は欧州全域で停滞しましたが、ボッシュは同事業で約50%成長を遂げました。ボッシュは今後数年間、この分野で市場よりも大幅に速いペースで成長し続ける見込みです。「私たちは製造設備への投資のみならず、静かで効率的かつ、コストパフォーマンスの優れたヒートポンプを含む製品ラインナップも拡大しました」とハルトゥングは述べました。ボッシュの会長は、ハイブリッド型暖房システムにさらなる売上拡大の可能性があると考えています。これは、基本運転用のヒートポンプと、ピーク時の負荷用のガス燃焼によるボイラーを組み合わせたもので、数百万棟の既存建物の効率的な脱炭素化が可能になります。ボッシュはまず、最大100戸の集合住宅向けに、この技術を使ったソリューションを提供する予定です。ハルトゥングはまた、長期的な購入決定を妨げ、暖房市場の深刻な低迷を招いてきたドイツの暖房法に関する議論にも言及しました。「気候政策とエネルギー政策が矛盾する分野では、投資家は投資せず待つだけです。成長には、明確かつ予測可能な補助金政策が必要です」と語りました。
気候変動政策:カーボンニュートラルな未来には持続的な投資が必要
ボッシュでは、全体的にクライメートアクションは引き続き中心的な役割を果たしています。ハルトゥングは、これによって、たとえeモビリティなどの市場が予想ほど急速に発展しなくても、大きな成長のチャンスがもたらされると見ています。「しかし、複雑な地政学や社会的緊張の高まりの中で、クライメートアクションはもはや政治課題の最上位に位置する唯一の問題ではなくなりつつあります」とハルトゥングは述べています。それでもボッシュは、カーボンニュートラルな未来に向けてテクノロジーに対して多額の先行投資を続け、この変革を形作ることに最初から貢献しています。ハルトゥングは、「CO2効率の高いテクノロジーへの補助金を削減する圧力がかかっています。しかし、クライメートアクションには政府、企業、そして私たち一人一人による持続的な投資が必要です」 、と語りました。
2023事業年度:フリーキャッシュフローの改善、多額の先行投資
前年度におけるボッシュの在庫水準は、新型コロナウイルスのパンデミックや半導体不足に伴う不確実性の影響を大きく受けていましたが、現在は正常な状態に戻りつつあります。その結果、フリーキャッシュフローは22億ユーロに改善しました。これは売上高の2.4%で、1.0%以上という目標を上回りました。自己資本比率は44.2%(2022年:46.6%)でした。研究開発費は73億ユーロ(2022年:72億ユーロ)と高水準を維持し、研究開発費比率は8%(2022年:8.2%)となりました。資本投資は55億ユーロと過去最高を記録しました(2022年:49億ユーロ)。フォーシュナーは次のように指摘します。「2023年には総額120億ユーロを超える先行投資の費用対効果にも細心の注意を払っており、必要に応じてプロジェクトの調整も行っています」
2023年度:事業セクター別の業績
モビリティ事業セクターは6.9%(為替調整後:10.9%)の売上成長を達成し、562億ユーロとなりました。支払金利前税引前利益率は4.4% (2022年:3.4%)でした。産業機器テクノロジー事業セクターでは、売上高が74億ユーロに増加しました。この6.8%(為替調整後:10.2%)の成長は、買収したHydraForce社とElmo Motion Control社が初めて連結対象になったことによるものです。支払金利前税引前利益率は9.1%と安定した水準でした(2022年:9.8%)。消費財事業セクターでは売上高は199億ユーロで、前年比6.6%減(為替調整後:1.2%の微減)となりました。支払金利前税引前利益率は、前年と変わらず4.5%でした。 エネルギー・ビルディングテクノロジー事業セクターでは、売上高は10.5%(為替調整後:13.2%)増の77億ユーロとなりました。支払金利前税引前利益率は9%に達しました(2022年:6%)。
2023年度:地域別の業績
欧州の売上高は、前年比5.5%(為替調整後:7.9%)増の468億ユーロとなりました。北米では売上高が6.2%(為替調整後:8%)増加し、152億ユーロでした。南米での売上高は前年の18億ユーロに対し、17億ユーロとなりました。これは6.2%の減少ですが、為替調整後では1.8%増となります。その他の地域を含むアジア太平洋地域では、売上高は279億ユーロとなりました。これは0.6%と微増ですが、為替調整後では8.6%の大きな伸びとなります。
2023年の従業員数:約2%の増加
2023年12月31日時点の従業員数は、全世界で42万9,416人となり、前年より8,078人増加しました。昨年はドイツを含むすべての地域で従業員数が増加する中、最も力強い成長を見せた地域は北中南米地域でした。
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このプレスリリースは2024年04月18日に Robert Bosch GmbH より発行されました。
原文をご覧ください。
ボッシュ、技術革新やパートナーシップ、買収に注力 - コスト削減も継続
高い収益力と財務力を必要とする成長目標
2024/04/18
世界のボッシュ・グループ概要
ボッシュ・グループは、グローバル規模で革新のテクノロジーとサービスを提供するリーディングカンパニーです。2023年の従業員数は約42.9万人(2023年12月31日現在)、売上高は916億ユーロ(約13.9兆円*)を計上しています。事業はモビリティ、産業機器テクノロジー、消費財、エネルギー・ビルディングテクノロジーの 4 事業セクター体制で運営しています。ボッシュは事業を通じて、自動化、電動化、デジタライゼーション、ネットワーク化、持続可能性の取り組みといった普遍的なトレンド形成に、自社のテクノロジーを活用することを目指しています。こうした観点から、ボッシュは地域や業界の壁を超えた幅広い事業展開により、革新性と堅牢性を高めています。ボッシュはセンサー技術、ソフトウェア、サービスにおける実績ある専門知識を活かし、さまざまな分野にまたがるソリューションをワンストップでお客様に提供しています。また、ネットワーク化とAIに関する専門知識を応用して、ユーザーフレンドリーで持続可能な製品を開発・製造しています。ボッシュはコーポレートスローガンである「Invented for life」なテクノロジーによって、人々の生活の質の向上と天然資源の保護に貢献したいと考えています。ボッシュ・グループは、ロバート・ボッシュGmbHとその子会社470社、世界約60カ国にあるドイツ国外の現地法人で構成されており、販売/サービスパートナーを含むグローバルな製造・エンジニアリング・販売ネットワークは世界中のほぼすべての国々を網羅しています。ボッシュの未来の成長のための基盤は技術革新力であり、世界136の拠点で約9万人の従業員が研究開発に、そのうち約4.8万人がソフトウェアエンジニアリングに携わっています。
ボッシュの起源は、1886年にロバート・ボッシュ(1861~1942年)がシュトゥットガルトに設立した「精密機器と電気技術作業場」に遡ります。ロバート・ボッシュGmbHの独自の株主構造は、ボッシュ・グループの企業としての自立性を保証するものであり、ボッシュは長期的な視野に立った経営を行い、将来の成長を確保する重要な先行投資を積極的に行うことができます。ロバート・ボッシュGmbHの株式資本の94%は慈善団体であるロバート・ボッシュ財団が保有しており、残りの株式はロバート・ボッシュGmbHおよび創業家であるボッシュ家が所有する法人が保有しています。議決権の大半はロバート・ボッシュ工業信託合資会社が保有しています。ボッシュは株主として、創業者ロバート・ボッシュの遺志を継ぎ、会社の長期的な存続と、特に財務上の独立性を守ることを使命としています。
*2023年の為替平均レート、1ユーロ=151.9026円で計算
さらに詳しい情報は 以下を参照してください。
www.bosch.com ボッシュ・グローバル・ウェブサイト (英語)
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ボッシュ・グループは、グローバル規模で革新のテクノロジーとサービスを提供するリーディングカンパニーです。2023年の従業員数は約42.9万人(2023年12月31日現在)、売上高は916億ユーロ(約13.9兆円*)を計上しています。事業はモビリティ、産業機器テクノロジー、消費財、エネルギー・ビルディングテクノロジーの 4 事業セクター体制で運営しています。ボッシュは事業を通じて、自動化、電動化、デジタライゼーション、ネットワーク化、持続可能性の取り組みといった普遍的なトレンド形成に、自社のテクノロジーを活用することを目指しています。こうした観点から、ボッシュは地域や業界の壁を超えた幅広い事業展開により、革新性と堅牢性を高めています。ボッシュはセンサー技術、ソフトウェア、サービスにおける実績ある専門知識を活かし、さまざまな分野にまたがるソリューションをワンストップでお客様に提供しています。また、ネットワーク化とAIに関する専門知識を応用して、ユーザーフレンドリーで持続可能な製品を開発・製造しています。ボッシュはコーポレートスローガンである「Invented for life」なテクノロジーによって、人々の生活の質の向上と天然資源の保護に貢献したいと考えています。ボッシュ・グループは、ロバート・ボッシュGmbHとその子会社470社、世界約60カ国にあるドイツ国外の現地法人で構成されており、販売/サービスパートナーを含むグローバルな製造・エンジニアリング・販売ネットワークは世界中のほぼすべての国々を網羅しています。ボッシュの未来の成長のための基盤は技術革新力であり、世界136の拠点で約9万人の従業員が研究開発に、そのうち約4.8万人がソフトウェアエンジニアリングに携わっています。
ボッシュの起源は、1886年にロバート・ボッシュ(1861~1942年)がシュトゥットガルトに設立した「精密機器と電気技術作業場」に遡ります。ロバート・ボッシュGmbHの独自の株主構造は、ボッシュ・グループの企業としての自立性を保証するものであり、ボッシュは長期的な視野に立った経営を行い、将来の成長を確保する重要な先行投資を積極的に行うことができます。ロバート・ボッシュGmbHの株式資本の94%は慈善団体であるロバート・ボッシュ財団が保有しており、残りの株式はロバート・ボッシュGmbHおよび創業家であるボッシュ家が所有する法人が保有しています。議決権の大半はロバート・ボッシュ工業信託合資会社が保有しています。ボッシュは株主として、創業者ロバート・ボッシュの遺志を継ぎ、会社の長期的な存続と、特に財務上の独立性を守ることを使命としています。
*2023年の為替平均レート、1ユーロ=151.9026円で計算
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