東京 — グローバル規模で革新のテクノロジーとサービスを提供するリーディングカンパニーであるボッシュの2019年度の日本国内における第三者連結売上高は、前年比1%増の約3,300億円(約27億ユーロ)でした。2019年は世界の自家用車および商用車の総生産台数が前年比5.5%減の9,210万台と、グローバルの自動車市場が縮小して厳しい環境となりましたが、ボッシュは日本において堅調な業績を維持しました。

なお、2020年度の業績見通しに関しては、自動車市場にとって厳しい1年となること、また状況が大変流動的であることから、公表を控えています。「現在の厳しい状況下においても、我々は日本のお客様、日本市場そして長期的な可能性への取り組みに注力します」と、ボッシュ株式会社代表取締役社長のクラウス・メーダーは年次記者会見で述べています。「今後もより良い社会と環境のために、様々なイノベーションを提供してまいります」と、続けました。

事業別の業績推移
事業別での売上高では、日本の主力ビジネスであるモビリティ ソリューションズ事業が前年比約1.5%増となりました。主に、横滑り防止装置(ESC)や先進安全運転支援分野を含むセーフティシステム向け製品、インフォテインメント製品などの取引拡大が売上に貢献しています。また、産業機器テクノロジーは前年比同レベルに届かなかったものの、消費財およびエネルギー・ビルディングテクノロジーは前年比同レベルを維持しました。

全世界における日系自動車メーカー向け売上が10.2%増加
日系自動車メーカーは、世界で生産される自動車の約30%を担っており、自動車市場において重要な役割を果たしています。ボッシュは世界60か国に広がるネットワークを生かし、国内外で日系企業が販売する車両の開発と生産をサポートしています。2019年は日系自動車メーカーの世界自動車生産台数が前年比でやや減少したなか、ボッシュの全世界における日系自動車メーカーへの売上は前年比10.2%増と、取引を拡大しました。なお、この数値には、二輪車メーカー、農建機メーカー、ティアサプライヤーに対する売上を含んでいます。2020年は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、日系自動車メーカーも一時的な工場の稼働停止や生産調整を余儀なくされていますが、ボッシュでは日系自動車メーカーが必要とするときに迅速に対応できるよう緊密に連携し、万全の体制を整えています。

自動化:側方レーダーを使った運転支援システム
ボッシュでは、交通事故を限りなくゼロに近づけることを目的として自動化を進めています。ボッシュの試算によると、現在ドイツ国内の交差点で起きている交通事故※1の最大41%※2.3が、側方レーダーを使った衝突被害軽減ブレーキと発進防止機能により防ぐ、もしくは被害を軽減できる可能性があることが分かりました。ボッシュでは、新世代の側方レーダーの量産を2020年に開始する予定です。ボッシュは2019年、ADAS部門の売上高が昨年比12%増の約20億ユーロに達するなど、自動化分野におけるマーケットリーダーとなっています。

なお、二輪車向けのレーダー(前方・後方)を用いた安全運転支援システム「アドバンスト ライダー アシスタンス システム(ARAS)」も、2020年の量産開始に向けて開発を進めています。その一環として、2019年3月に東京都、神奈川県、栃木県の高速道路で開始した公道試験を、2020年には埼玉県まで拡大し、複雑な日本の道路環境により正確に対応したシステム開発を進めています。

電動化:電動化ソリューションを搭載したローリングシャシーの提案を開始
ボッシュでは、地球の気候変動や都市の大気環境に配慮したサステイナブルなモビリティの提供に向け、高効率の内燃機関からeモビリティ、燃料電池に至るまでの様々なパワートレインの開発を進めています。日系自動車メーカー向けにも当社の48Vマイルドハイブリッドのコンポーネントの量産を開始し、2020年春に欧州で販売が開始されたモデルに搭載されています。また近年、電気自動車を活用した新たなモビリティサービスの提供に取り組む新規プレイヤーの参入が相次いでいることから、電動パワートレイン、電動ブレーキシステムや電動ステアリングなどを搭載した、電気自動車向けプラットフォーム「ローリングシャシー」の提案も国内外で開始しています。

ネットワーク化:コネクテッド モビリティ ソリューションズ事業部を設立
日本では2020年1月、コネクテッド モビリティ ソリューションズ事業部を設立し、インターネットを介して新しいソフトウェア・ファームウェアを配布・アップデートする仕組みを車両にも適用する「OTA(Over the Air)」をはじめとした、ネットワーク化関連ソリューションの包括的な提供を開始しています。

またボッシュでは、駐車場のネットワーク化も進めています。2020年2月には、株式会社ミライト、Kerlink社およびSynox社と連携し、駐車可能なスペースを通信経由で通知するパーキングロットセンサー(PLS)の提案を開始しました。PLSによりドライバーはオンラインで駐車スペースの空き状況を確認できるようになり、ドライバーの駐車スペース探しにかかる負担、駐車場を探す間に排出されるCO2を削減し、環境保全に寄与します。また、PLSは特殊な接着剤で地面に装着するだけで設置でき、駐車場管理者にかかる駐車場構築およびメンテナンス費用の軽減にも貢献します。

世界有数のAIを駆使したIoT企業に成長
ボッシュでは、2025年までにボッシュのすべての製品に人工知能(AI)を搭載する、または開発もしくは製造段階でAIを活用することを目指しています。また、世界有数のAIを駆使したIoT企業に成長することを目指し、モビリティのみならず、製造業、ロジスティクス、スマートホーム、農業に至るまでの多岐にわたる分野において革新的なプロジェクトを推進し、デジタルサービスにおける新たなビジネスチャンスを切り開いています。2020年1月には、IoTを中核とした活動を推進するBosch.IOを設立し、約900名の従業員がボッシュの擁する約3万人のソフトウェアエンジニアおよびAIエキスパートと共同でプロジェクトを展開しています。

日本においてBosch.IOは事業部としてビジネスを展開し、AIを活用したスマート農業ソリューション「Plantect」をソリューションの一つとして提供しています。2017年にサービスの提供を開始したPlantectは、国内における出荷デバイス量の増加、流通網の拡大、韓国への進出など国内外で順調に市場を拡大しており、2020年中には中国やオーストラリアにも本格的に進出する見込みです。Bosch.IOはPlantect以外にも農業のデジタルトランスフォーメーションを促進する製品を有しており、包括的なソリューション展開を促進するための事業パートナーや投資企業を募っています。

ボッシュ・グループ:2020年の展望と長期的な戦略の方向性
ボッシュでは、コロナウイルスのパンデミックを考慮し、今年度は世界経済にとって大きな挑戦の年になると予測しています。ボッシュ・グループの取締役は、ドイツにて実施した年次報告記者会見において、少なくともバランスの取れた結果を得るために最大限の努力をしなければならないと発表しました。困難な現状にもかかわらず、ボッシュは長期的な戦略を維持しています。つまり、グローバル規模で革新的なテクノロジーとサービスを提供するボッシュは、意欲的なクライメート関連目標を体系的に追求し続け、持続可能なモビリティの拡充をサポートするために必要な活動を展開しているのです。「現在は他の問題が注目されていますが、私たちは地球の未来を見失ってはならないのです」と、ロバート・ボッシュGmbH取締役会会長のフォルクマル・デナーは述べました。ボッシュは、2020年の世界的なクライメートアクションの目標を達成し、世界の400拠点すべてをカーボンニュートラルにする予定です。加えて、バリューチェーンに沿った上流と下流の活動を可能な限りクライメートニュートラルなものにするという目標を設定しました。2030年までに、関連する排出量(スコープ3)は15%減ると予測されています。その上、ボッシュはボッシュ・クライメートソリューションズと称する新しいアドバイザリー会社に、1,000を超えるエネルギー効率プロジェクトからの経験を結集させることを計画しています。クライメートアクションが、様々な分野で構造変化を加速させているため、水素は自動車産業においてもビルディングテクノロジーにおいても、ますます重要となってきています。そのためボッシュは、パートナーとともに自動車向け燃料電池と定置用燃料電池の両方に取り組んでいます。デナーによれば、重要なのは持続可能なモビリティに向けて電気自動車向けソリューションの開発を進めるだけでなく、効率的な内燃機関、特に再生可能な合成燃料や燃料電池を考慮に入れる、幅広い技術開発の姿勢です。

ボッシュは、例えば、新たに開発した新型コロナウイルス感染症 (Covid-19)向け迅速検査システムやVivalytic分析装置などを通じて、パンデミックの食い止めに可能な限り貢献したいと考えています。ボッシュはまた、検査結果が出るまでに要する時間を、現在の2時間半から45分以下にまで短縮させる計画も進めています。ボッシュは2020年に100万台を超える迅速検査システムを生産し、翌年には300万台まで増やす予定です。ボッシュではまた、従業員の感染防止に向け、複数の地域でマスクと消毒剤を生産しています。

※1 乗員のけがを伴う乗用車による交通事故
※2 車両へのシステム搭載が浸透していると仮定した場合の数値(搭載率100%)
※3 Bosch Accident Researchでの検証結果(2019年/2020年): GIDASデータベース(2005年-2019年)およびドイツ連邦統計局データ2018年 (DESTATIS F8 R7)

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