東京 — グローバル規模で革新のテクノロジーとサービスを提供するリーディングカンパニーであるボッシュの日本法人、ボッシュ株式会社(東京都渋谷区)は、新研究開発施設および区民文化センターに対して、約390億円(3億ユーロ)を投資することを発表しました。ボッシュが自社の拠点と地域の施設を一体として建設する公民連携プロジェクトに参画し、地域の賑わい創出を担うことは、グローバルでも今回が初めての試みとなります。竣工は、2024年9月を予定しています。今回の設備投資額は、日本のボッシュ・グループの110年以上にわたる歴史において、単一の投資としては最大となります。ボッシュはまた、現在渋谷区に置く本社を、同研究開発施設に移転します。

ロバート・ボッシュGmbH取締役会メンバーであり日本の事業を担当するロルフ・ナヨルクは、「1911年にボッシュが日本で事業を開始して以来、ボッシュと日本の自動車メーカーは長年にわたり実りあるパートナーシップを構築して来ました。新たな研究開発施設の設立により、事業部横断型の開発力を強化し、日本の自動車メーカーとともに未来のモビリティ形成を推進していきます」と述べています。

ボッシュ株式会社の代表取締役社長を務めるクラウス・メーダーは、「新たな研究開発拠点の設立は、日本での事業展開をより強固なものにしたいというボッシュのコミットメントを表しています。また、ボッシュがいかに日本市場、そして日本のお客様を重視しているかを物語っています」と語っています。

横浜市長を務める山中 竹春氏は、「最新のテクノロジーで世界をリードするボッシュ社は、今から実に111年前、横浜の地で日本での事業をスタートされました。1990年には、都筑区に研究開発施設を設立され、以来、長きにわたり、横浜経済の成長と発展を支えてくださっています。最先端の技術とアイディアをお持ちのボッシュ社とともに、ここ横浜から、日本や世界の持続的な成長につながる新たなイノベーションを発信し、多くの皆様が集う、温かな交流の場を生み出していきます」と述べています。

外資系企業による日本市場への直接投資としても規模が大きく、日本への投資の意義について独立行政法人日本貿易振興機構 (ジェトロ)の対日投資部長の河田美緒氏は、「世界をリードする自動車部品サプライヤーのボッシュが、横浜市都筑区内に新たな研究開発施設の建設という大規模投資を決定したことを大変嬉しく思います。新たな研究開発施設の設立により、国内の自動車メーカーとの協働がこれまで以上に促進され、技術や経済のさらなる発展を促すことが期待されます」と語っています。

日本国内における開発能力を強化
自動車業界は、ソフトウェア、電動化、自動化、ネットワーク化、パーソナライズ化というメガトレンドにより、変革の時代を迎えています。ボッシュは、これらすべての領域に必要となる幅広いポートフォリオを有する、世界有数のモビリティソリューションプロバイダーのひとつです。横浜市都筑区の新たな研究開発施設は、事業部間の枠組みを超え、ボッシュが持つ幅広い技術を結集させた統合的なソリューションの開発をさらに強化します。世界の自動車市場をリードする日系自動車メーカーの本拠地に新たな研究開発施設を構えることで、お客様とのさらなる関係強化と緊密な協力関係の構築が可能となり、よりご要望に即したソリューションの提案、製品の適合強化や開発リードタイムの短縮に貢献します。

新社屋には、車両制御、安全システム、運転支援/自動運転、HMI(ヒューマンマシンインターフェイス)、車載電子部品、車載ソフトウェア、コネクテッドサービス、エンジニアリング、オートモーティブアフターマーケットなどの事業部およびグループ企業を集約します。現在東京横浜エリアに点在する8拠点を集約し、モビリティ事業以外の、産業機器、消費財、エネルギー・ビルディングテクノロジー事業セクター傘下の事業部ならびにグループ企業も同施設に移転します。なお、2024年12月までに移転が完了する見込みです。

新社屋は、1990年に開設した横浜市都筑区の既存の研究開発施設から約2キロメートル、センター北駅から徒歩約5分の場所に位置します。実験室や事務所、創造性を向上するためのコラボレーションエリア、ワークショップエリアを含む、地上7階、地下2階、延べ床面積5万3千平方メートルの施設で、約2,000人の従業員が移転する予定です。また、今後予定しているソフトウェアやAIなどの先進技術分野における人員増加にも対応できるだけの十分な広さを有しています。なお、既存の研究開発施設では、引き続きパワートレイン関連の研究開発と、二輪車およびパワースポーツ事業のグローバル本部としての機能を継続します。また、パワートレイン関連の研究開発は、埼玉県東松山市にある既存の開発拠点でも継続します。

また、2018年、当社が代表するグループ企業が「横浜市都筑区における区民文化センター等整備予定地活用事業」において事業者として決定されたことから、施設の敷地内には横浜市の要求水準等に基づき、区民文化センターを建設します。区民文化センターは、地上4階、地下1階で、災害にも強い免震構造を採用します。2階には約300席のホールを、1階にはギャラリー、リハーサル室等を設けます。また誰もが安全で快適に過ごせるよう、バリアフリー設計とします。2024年9月の竣工後に横浜市に売却した後、2024年度中(2025年3月まで)の開館が予定されています。

地域の賑わい創出に向けた取り組み
ボッシュは、本プロジェクトの事業コンセプトとして「歴史ある都筑の文化とグローバルテクノロジー企業のFusion(融合)による、新しい未来型文化拠点づくり」を掲げ、新社屋と区民文化センターの相乗的な賑わいを創出し、地域活性化につなげます。

ボッシュは2015年、東京・渋谷の本社1階にショールームを併設したブランドコミュニケーション拠点「café 1886 at Bosch」をオープンしていますが、この公民連携プロジェクト全体を通じて、より規模を拡大して、ボッシュについての情報を発信していきます。新社屋の1階には、一般のお客様向けのカフェ「café 1886 at Bosch」と、最新のボッシュの製品やサービス、情報、そしてコンセプトを伝えるショールームを併設し、ボッシュの歴史や、現在、そして未来に向けた取り組みを紹介します。また、ボッシュの新社屋と区民文化センターの間には全天候型の広場を設け、毎年12月に開催されている都筑区恒例のドイツクリスマスマーケットなどの地域イベントの開催を可能とします。そのほか、区民文化センターの来訪者だけでなく、一般の方々も楽しむことのできるようなイベントなども、年間を通じて展開していく予定です。

ボッシュのサステナビリティに対する取り組みを体現する新社屋
ボッシュは2020年春に、世界的に事業展開する事業会社として初めてカーボンニュートラルを達成しました。現在は、サプライチェーン全体で、製品のライフサイクルを通じて発生するCO2排出量を、2030年までに15%削減するという目標に取り組んでいます。

新社屋も、ボッシュの技術や自然資源を最大限に活用した取り組みを多く採用し、サステナビリティに対するコミットメントを体現します。ボッシュでは現在、都市ガス(天然ガス)からバイオガス、水素という様々な燃料で稼働可能な定置用燃料電池システム(SOFC:固体酸化物形燃料電池)の開発を進めています。新たな研究開発施設には、都市ガスで稼働するSOFCをパイロット導入する予定です。なお、ボッシュがアジア太平洋地域の拠点でのSOFCの採用を決めたのは、この横浜の施設が初めてとなります。2024年のオープン当初はSOFCで発電の実証運転を開始し、2026年には最大数百kWまで拡大することを視野に入れています。一般的な火力発電所から提供される電力と比較して、横浜にて都市ガスで稼働させた場合、CO2排出量や電気代はそれぞれ20%程度削減できる見込みです。

また、ボッシュのセンサーで自動的に窓を開閉する自動換気システムや、窓に設置するルーバーを採用し、冷房および機械換気にかかる総電力需要を削減するほか、雨水の再利用による水資源の効率的利用を図ります。

都筑区には、住みよい街づくりが進められながらも、森林と水辺、そして歴史的な遺産を緑道で結ぶ都市計画「グリーンマトリックスシステム」に基づいて整備された、豊かな自然が保全されています。新社屋ならびに区民文化センターの敷地にも植栽や緑地を整備し、訪れる人々に安らぎの空間を提供します。


【施設概要】

ボッシュ・グループの研究開発施設
所在地: 神奈川県横浜市都筑区中川中央一丁目9番1、2
構造: 鉄骨造(一部鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造)
階数: 地上7階、地下2階
敷地面積: 1万2,037.66平方メートル(区民文化センター部分を含む)
延べ床面積: 約5.3万平方メートル
設計・施工: 株式会社大林組
竣工予定: 2024年9月
移転時期: 2024年12月までに順次移転予定
認証: CASBEE横浜建築評価にてAランクを取得予定(区民文化センター部分を含む)

都筑区民文化センター(仮称)
構造: 鉄筋コンクリート造(一部 鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造)
階数: 地上4階、地下1階
設計・施工: 株式会社竹中工務店
竣工予定: 2024年9月
開館時期: 2024年度中(2025年3月まで)
認証: 同上

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