木材を彫って形づくる
イラストレーター:そで山かほ子さん
先端に付ける多種多様な“アクセサリー(※)”を付け替えて使用することで、木材、ガラス、金属、革など、様々な素材に色んな加工ができるマルチな工具「ドレメル フィーノ」。使い方次第で創作の幅が広がる工具として、一般の方からクリエイターまで多くの方に愛されています。でも、一言で色々使えると言っても「どう使えば良いのだろう?」と迷ってしまう方もいますよね。
※この記事では、「アクセサリー」をドレメル フィーノの先端に付ける部品の意で使用します。
そこで、実際にドレメル フィーノを愛用しているクリエイターの方に活用方法をお伺いしてみることに。今回お話を伺ったのは、イラストレーターのそで山かほ子さんです。
チョコレートが溶けたみたいにアクリル絵の具をたっぷり塗った作品や、独特のタッチの線画が魅力のイラストレーター、そで山かほ子さん。広告・雑誌・書籍などのイラストレーションを中心に幅広く活躍中で、近年は、プライウッドでのカットワークのプロダクトも手がけています。
木の素材を扱うことが多いというそで山さんですが、ドレメル フィーノを使った創作も楽しんでいるようです。
今回は、そんなそで山さんにフィーノを活用して制作した作品を紹介していただきました。それが、こちら。
メキシコの民藝から
インスピレーションを受けた、
木の置物。
メキシコのオアハカ(Oaxaca)という地域で作られている人形からインスピレーションを受けて制作したという、木の置物です。モチーフとなったのは、犬と鳥。どちらも、そで山さんの作品のタッチがそのまま立体となって現れたような、ゆるくて可愛らしい雰囲気が素敵です。
そで山かほ子さん:「民藝品が好きで、メキシコのオアハカで作られているウッドカービングの人形を持っているのですが、これが手のひらサイズで。ちょうどドレメル フィーノで作れるサイズ感だなと思い、今回その人形からインスピレーションを受けて木の置物づくりに挑戦してみました。」
日本や世界の民藝品、郷土玩具に惹かれるというそで山さん。魅力はどんなところにあるのでしょうか?
そで山かほ子さん:「ひとつひとつ手作りで、同じものがないところです。私が持っているものは、メキシコに買い付けに行った方から譲っていただいたものです。こういう手作りのものが好きで、誰か有名な作家ではなく、職人さんが手作りで作っているものっていいですよね。変な顔が愛らしかったり、しっぽの長さがまちまちだったりするんですよ。」
そんな大好きな人形を眺めながら、まずはご自身の作品となるモチーフのデッサンを描くところからスタート。その絵からも、民藝品を愛でるそで山さんの目線が伝わってきます。
イメージを形に。
ルーターを使うことで
気軽にチャレンジ。
イメージが出来上がったら、いよいよドレメル フィーノを使った作業です。最初に取りかかったのは、一番大きなボディの部分。角材に鉛筆でざっくり当たりをつけたら、サンディングバンドのアクセサリー(#430)を付けたフィーノで削っていきます。
ボディを削るとなると大変そうなイメージがあるかもしれませんが、サンディングバンドを使ったら予想以上の速さで作業できたという、そで山さん。
そで山かほ子さん:「もう少し時間がかるかなと思っていたのですが、今回柔らかい木を使ったのもあってか、手が持っていかれることもなく、楽しく削れました。木屑はたくさん出ますが、すごく削り具合が気持ち良くて。削る作業はフィーノがやってくれるので、手も全然疲れませんでした。いつも使っている筆の方が疲れるくらいです。」
木彫りの人形づくりでは彫刻刀を使う場合もありますが、フィーノのようなルーターを上手く使うことで、作業効率を上げられるというメリットがあります。時間を短縮できたり、手作業とは違った仕上がりが楽しめたりと、創作の幅が広がるのです。
ボディを削り終えたら、足や耳、羽や尻尾などの細かいパーツも削り出していきます。鳥の羽や尻尾には、ダイヤモンドホイールポイントの細いアクセサリー(#7144N1)を使用して、ギザギザの模様をつけたそう。
パーツが全て用意できたら、ボディに足や羽などのパーツを取り付けていきます。パーツを差し込む穴はハイスピードカッター(#118)であけ、必要なところは釘を使って留めていったそうです。今回インスピレーションを受けたメキシコの人形はすべて釘を使わず、上手くはめ込むことで出来上がっているそうですが、釘を使うことで、より簡単に仕上げることができます。
最後は、アクリル絵具で色付けをします。フィーノで模様をつけた部分はあえて色をかすれさせるなど、工夫が施されています。ちょっとした工夫でオリジナリティが加わり、世界に一つだけの作品が完成です。
木の置物というと難しそうなイメージですが、フィーノがあればチャレンジしてみたくなりますね。普段は平面の作品をメインに作っているそで山さん。今回の立体的な作品づくりで難しかったところはあったのでしょうか?
そで山かほ子さん:「最終的にちゃんと立つかどうか、考えながら作ることですね。平面は普段から慣れているので想像がつくのですが、立体はいろんな部位があるので、部位によってフィーノのアクセサリーを変えるなど、いろいろ試しながら作業しました。その分、工程が増えたり、予定していたのと違う足になったりしましたが、楽しんで作ることができました。」
普段とは違った作業にも、楽しみながら挑戦できる。それを実践しているそで山さんからのお話からは、存分にフィーノを活用している様子が伝わってきました。最後に、今後作ってみたいものもお伺いしてみました。
そで山かほ子さん:「もう少し小さい、木のブローチを作ってみたいですね。今回の置物も、違う動物をどんどん増やしていきたいです。最近、陶芸を始めたので、陶器にも何か使えそうだなと思っています。フィーノは持ち運びしやすいので、友人のアトリエを使わせてもらう時にも、気軽に持っていけそうです。」
クリエイターの想像力を刺激する、ドレメル フィーノ。これからも、たくさんの素晴らしい作品が生まれるのではないでしょうか。もちろんクリエイターの方だけでなく、誰でも気軽に使えるので、今日のお話を参考にフィーノを使った創作にあなたもチャレンジしてみてくださいね。
東京都在住。安西水丸塾受講。
チョコレートが溶けたみたいにアクリル絵の具をたっぷり塗った作品や独特のタッチの線画が特徴。広告・雑誌・書籍などのイラストレーションを中心に幅広く活躍中。近年、プライウッドのカットワークのプロダクトも手がけている。
WEB:http://sodekaho.com
Instagram:@sodekaho
【使用素材】木材, 釘
【使用アクセサリー】サンディングバンド #430、ハイスピードカッター #118、ダイヤモンドホイールポイント #7144N1